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ナラ突き板の現代仏壇ーシンプルで芳醇 [現代仏壇]


 お久しぶりです、僕は元気でやっておりました。夏場は大工さんのアルバイト、9月からはたまってしまった自分の仕事に集中しています。今日やっと納めた仕事ですが老人ホームの居室用の現代仏壇です。

001、ナラ突き板の現代仏壇.jpg
 Tさんの宗派は戒名の軸を飾るのだそうで、奥行きは少なめでシンプルに、でも僕らしい事をというご要望です。

 扉を閉じた状態は簡潔に、でも開くと扉の裏の彫り込みに6個のレリーフと棚板が木目彩色という芳醇な世界がという設定です。

 今回は無垢材にはこだわらないご様子だったので、突き板ベニアを使った合板構造にしました。箱物に関しては無垢にこだわらない方がいいと僕は思っています。ただ今回の合板はただの合板ではありませんよ。

 002、シルキーオークの突き板.jpg

 突き板の貼り方を説明するために、これはシルキーオークの突き板です。


003、追い貼り.jpg

 4枚の突き板を右左同じ向きに並べて貼ってゆくのを「追い貼り」といいます。現代はほとんどがこの追い貼りです。あっさりしていることと、部材を取る時の歩留まりがいいのが大きな理由です。


004、ブック貼り.jpg

 これは一枚おきに左右を反転させて並べた状態。接ぎ口を中心軸として木目が反転するので「ブック貼り」といいます。現代ではめったに見ない貼り方です。大きな面積でこれをすると見方によっては、くどいということと歩留まりが悪いのが理由だと思います。


005、ブック貼りのナラ突き板.jpg

 でも今回は物が小さいのでこのブック貼りにしました。写真は4枚の突き板が貼られているんですが、髄線の斜めのパターンが対象形になってV字を描いているのが解るでしょうか?こういう効果が得られるのがブックならでは、なのです。

006、ナラの突き板.jpg

 すべてのパーツをブック貼りで特注しました。



007、ランバコアの断面.jpg

 さて、これはランバコアの断面です。ファルカタというとても軽い芯材の両面にベニアを接着したような断面です。突き板仕事というのはこのランバコアの表面に

008、ランバコアに突き板ベニア.jpg

 2.5ミリ厚の突き板を貼ったベニアを貼付けて行って、まるで全体がナラの無垢材でできているかのような状態にすることですが、この断面を考えるとファルカタを芯として表裏2枚ずつ、合計4枚のベニアが使われることになります。厳密に言えばランバコア表層のベニア2層は無駄なことになるわけです。


009、桐集成材に突き板ベニア.jpg

 そこで今回は桐の集成材を自分で納得するまで削り直して、その表面にナラを貼ったベニアを接着することにしました。というのは既成のランバコアは平面精度があまり良くなくて、大きな家具を作る分には気にならないのですけど、今回のように物が小さくて精度が要求される場面だと気になるのですね。

 加えてランバに突き板ベニアを貼るという方法ですとどうしても無駄な層が無駄な厚みになってしまうので、薄くて繊細でかつ精度が高いという次元を醸し出しにくいのです。

010、桐芯材のランバコア.jpg

 そこで今回は桐を芯材とした自家製ランバという仕様にしたのでした。



011、ワンバイ材.jpg

 本体が組み終わってほっとして、次はレリーフのパーツの加工ですが、今回はなかなかいい材料が見つからず、2件目のホームセンターでようやく出逢えました。2枚だけ、今回のパーツにはこれしかないだろうという材料です。

 写真の左の材が特によく写っていますが、年輪が細かくてくっきりしています。これに出逢うために数百枚はひっくり返しました。

012、アテの木目.jpg

 端の方で実験です。

013、杢.jpg

 わずか25ミリ角の中に見事な木目が出ましたよ!

014、杢.jpg

 安心して本番の加工。

015、木目お万華鏡.jpg

 快心の木目です。

016、木目.jpg

 この木目が尖ったところを狙って彫り込むと、

017、木目の不思議.jpg

 これも狙い通り!

018、立体木目いろいろ.jpg

 でもね、このパターンは20回やり直しました、、、。そうしてようやく今日納品。





019、ホーム居室のお仏壇.jpg

 偶然ですが、先に用意してあった無印の家具もナラ材でまったく違和感がなく、


020、シンプルなお仏壇.jpg
021、木目彩色.jpg


 カーテンの色と合わせた彩色の棚板もちゃんとコーディネート出来ました。


022、ナラ材のつまみ.jpg

 ナラ材で作ったつまみもさりげなくおしゃれ。


023、木のレリーフ.jpg

 ブックマッチの突き板とレリーフの納まりです。
 
 快心のパーツを見てくれますか?

024、木のレリーフパーツ.jpg

 20個作り直した成果ですよ。

025、木のレリーフパーツ.jpg

 これはあっさり決まったね。

026、木のレリーフパーツ.jpg

 たった25ミリ角の中にこれだけの木目が出る材がよくも見つかったものです。

027、木のレリーフパーツ.jpg

 見事に楕円。

028、木のレリーフパーツ.jpg

 この不規則な木目がいい味出してます。

 最後はこれ、

029、木のレリーフパーツ.jpg

 やったね!



 身内の健康問題で集中力を欠き、本体も扉も作り直したというギョエー!!!な制作でしたけど、最後は納得の完成度にこぎ着けました。お客さんの幸せそうなお顔に癒された日でした。

 Tさん、何もかも信頼して任せていただいて嬉しかったです。ありがとうございました!





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木目彩色 [日々の出来事]


 雨の多い日が続きますね。今日の札幌はいい天気で気温は25度近くまで上がったようです。

 屋根の温度がもろに伝わる2階で事務仕事をしていましたが、半袖でも汗ばむほどでしたので30度近かったのだろうと思います。


001、木目着色の棚板.jpg

 昨日、納品した仕事です。クラフトに理解のある工務店さんで作家の展示コーナーに使う棚板です。

 「ここに国本さんの作品を飾るんですよ〜」なんて言ってもらえましてね。気合いが入って一輪挿しで初めて実用化した着色方法をさっそく使う事にしたのです。

 結果は見ての通り、本人もビックリの出来上がり!


002、木目の着色.jpg


 最初は3色の提案をしたのですが、ナチュラルとの対比も見たいということで木地のままのものも入れて4色ということになりました。

 これがね、、、とってもいい経験になったのです。

 写真ではなかなか伝わらないかも知れませんが、上の3色と一番下の木地のものとでは圧倒的な差がありまして「もっと早くこの着色が出来ていれば、、、」と思う程でした。

 人が物の状態に驚く時の要素に「素材が化けている」ということがあると思うのです。まるで木だとは思えない、でもよく見ると木じゃないとこんな表情は出せない、そんな状態ですね。それがここに来てようやく出来た気がするのです。そして今まではまだ化けきらせていない状態で勝負していたんだということも理解できました。


003、木目の彩色.jpg

 今までやって来たことは、まだ人の常識の範疇にあって、今回の着色の結果はそこからはみ出している。だから驚くのでしょうね。この気づきは僕にとってものすごく大きな出来事でした。

 これからはこの手法を大きく発展させてやろうと思っています。


004、3次元の木目.jpg


 きれいでしょう?



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箸置き、ペンスタンド、一輪挿しの新作 [日々の出来事]


001、教授とパッケージ.jpg

 「学長!これなんですか?」

 「うしし〜玉手箱〜」

 「え〜開けたら髪の毛がなくなっちゃうなんてなしですよ〜」

 「まぁ、そりゃ大丈夫だと思うよ」

 「なんかやな感じ、、、、」


002、木の箸置き.jpg

 「おー!!!なにこれ?かわいい!」

 「ハイチュウ?って言った人がいたなぁ」

 「あん!?」

003、木の箸置き.jpg

 「正解は箸置き♪」


004、木の箸置き.jpg

 「いや〜おっしゃれ〜!パッケージングがいいですねぇ」

 「でしょでしょ!」

 「だけどねぇ、これすんごい苦労したのよ、聞いて聞いて」

 「長そうだけど聞きますか?」




 マグネットの記事の時にopasさんが「箸置きにしましょうよ」なんてコメントがありましてね。そう言えば20年程前に作ってあまりの大変さにやめてしまった箸置きがあったのを思い出しまして、またやってみようかなと思ったのです。ただこの箸置きの制作はまず刃物の消耗が激しいのも大きな課題で、機械屋さんに話をしてみると、なんと運良く中古の刃があったんです。

005、接ぎカッター.jpg

 板の接ぎ口を作るための刃なんですが、箸置きにするにはちょうどいい歯形なので譲ってもらいました。

006、短冊の板.jpg

 で、もうひとつ大変なのはこのデザインは木材の木口をこの歯形で削りたいこと。そのためには巾方向に短冊状に切った材料を加工してゆくことになりまして、銘木の端材は棒状のものが多いので巾の広い材料がほとんどありません。となると

010.jpg

 こんな風に小さなブロックを張り合わせて巾のある材料にしてから短冊状にして加工して行く事にならざるを得ないわけです。今回6種の組み合わせで計12樹種で作ったのですが、そのほとんどの樹種でこの行程が必要になってしまったために膨大な手間がかかってしまったわけです。ほんと途中でうんざりしました。

007.jpg

 削り出した色違いの材を

008.jpg

 こうして接着すれば箸置きの元ネタができる。金太郎飴の棒のようなものですね。

011.jpg

 6種の組み合わせ。




012.jpg

 これを約15ミリ角に切り出して、



014.jpg


 まず長手を5度に切る。


015.jpg

 次に木口も5度に切る


016.jpg

 最後に上の面をカーブに削り出したら

017.jpg

 あとはひたすらサンディング、、、。


018.jpg

 #120、#240、#400と3段階にペーパーをかけるのですが、今回150個ほど作りましたからサンディングだけで3日かかって、げっそり。マグネットはすべての行程を機械化できるので単価が下げられましたけど、この箸置きは仕上げの行程の大半は手作業になってしまうのでマグネットの倍の手間がかかりました。

 だからと言って単価は倍にはできないというのが20年前に苦しんだところなんですね。すっかり忘れてました、アホですね(笑)


019、ブラッドウッドと桑の箸置き.jpg

 ブラッドウッドと桑の組み合わせ。ブラッドウッドは南米産でクワ科なので色は違えどクワの組み合わせということになります。


020、ニガキと月桂樹の箸置き.jpg

 ニガキと月桂樹。ニガキはキランキラン!


021、カリンとハリエンジュ瘤のの箸置き.jpg

 カリンとハリエンジュのこぶ。


022、ウォールナットとカバこぶのの箸置き.jpg

 カバこぶとウォールナット。


023、イチイとクラロウォールナットの箸置き.jpg

 これはたった一組しか作れなかったクラロウォールナットとイチイの組み合わせ。


024、パープルハートとイタヤカエデの箸置き.jpg

 パープルハートとイタヤカエデ縮み杢。



 こりゃ楽しいですね!おまけにすごくプレゼント向きじゃないですか?どうしてこういう可愛くてかっこのいいものを今までださなかったんですか!?」

 「だから言ったでしょう?すんごい手間がかかってうんざりするんだってば!」

 「そりゃそうかもしれませんけどね、学長の作るものはね、ニュアンスとしてカワイイが足りなかったんですよ。でも今回は特にパッケージでそれが実現出来てますでしょう?そこがいい、実にいい!名作誕生ですなぁ」

 「なんだよ偉そうに」

 「わたしなんたって教授ですからな」

 「ふ〜んだ」

 「ところでだね、今日は一気に3種の作品の紹介で、次はペンスタンドなんだけどね。20個程作ったのだけどちょっとトラブルがあって12個がハネになって完成したのは8個6樹種なんだけどさ。どれも愛着があるのだけど、特に紹介したいのはシルバーオークの柾目のものなんだよ。




011、ナラ柾のペンスタンド−1.jpg
012、ナラ柾のペンスタンド−1.jpg

 ヨーロッパのナラ材なんだけど、今までナラの髄線っていうのは大きな面で見せるには面白みが解るのだけど、小さなもので髄線を面白く表現出来なかったんだね。これが今回快心の出来映えになってやっとナラ材の小物での生かし方が解ったんだなぁ、、、。これが嬉しくてね。」


 「おー!!!これはいいですね!!!ほんのわずかに柾目を傾けて髄線が放物線を描く様にしたわけですね!?いやこりゃすばらしい工夫です。座布団3枚ですなぁ!」

 「でしょでしょ!? で、最後は超久しぶりの、そしてたぶんこのブログでは初登場の一輪挿し「Triad」

 

001、木の一輪挿しTriad、グリーン.jpg

 「ありゃ!?グリーンの木目!?こんな木があったわけじゃないですよね!?」

 「ウシシー、そう見えたらやったぜ〜てな感じ。これね白とグリーンを年輪の一本おきに着色したんだよ。」

 「えー!!!?そんなアホなことを!!!?」

 「アホ言わなくてもいいでしょう?」

 「いや、だって一本一本グリーン、白、グリーンって!?それはやっぱりアホでしょう!?」

 「芯持ち教授、木工芸って言うでしょう?僕らはさ芸人でもあるわけよ。人が面白いと思う事を無限に追求してゆかないと飽きられるでしょう?」

 「はぁ、そういう意味ではアホは褒め言葉ですかね?」

 「いや、う〜んまぁそうとも言えるけど、、、なんかだまされたような、、、まぁ、こんなのもあるよ」


010、木の一輪挿しTriad、ピンク.jpg

 「ピンクと白〜」

008、木の一輪挿しTriad、イエロー.jpg

 「黄色と白〜」

012、木の一輪挿しTriad、グレー.jpg

 「グレーと白〜」

 「ウヒョー!!!これは新境地ですね!!!これは無限の可能性があるじゃないですか!?」

 「そうそう、レリーフに使っても表現の巾がまた広がるしね。」

 「しかしなぜこれもっと早くにやらなかったんですか?」
 
 「いや、アータね、これ難しいのよ。年輪を一本一本吸い込みムラもなく、まるでこんな色の木があるかのごとくに着色するってね。これもう10年以上暖めていたアイディアだけど技術的に上手く行かなかったのさ。」

 「え!?じゃぁどうして今回できたんですか?」

 「えへへ、それだけはヒ、ミ、ツ。」

 「私にもですか!?まぁいいけど、、、しかし学長、なんか今回はカワイイがキーワードになってますねぇ。これはいい傾向ですなぁ。今まで学長に欠けていた部分が開拓出来始めている気がしてきました。我が校の未来もちょっと明るくなってきそうですなぁ、、、」

 「うん、そういうことにしよう〜」









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