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ダイニングチェアー「つつみ」の制作   [日々の出来事]


001、ダイニングチェアー「包」.jpg

 久しぶりに「つつみ」の制作をしました。追加予算を出していただき、1脚11万で4樹種での制作です。奥左がナラ、奥右はウォールナット、手前右がエゾヤマザクラ、手前左が桑です。ウォールナットを除く3樹種は近年お付き合いし始めた札幌のLOVE WOOD(能美)さんで入手しました。

002、桑材2枚.jpg

 これ北海道産の桑材なのですが、実はエンジュの山のなかに紛れていたものだったのです。エンジュを在庫していることでさえ珍しいのですけど、「これねぇ、桑だと思うんですよね、、、」の一言に「うそ!!!」と猛烈に反応してしまいまして「えー!?いやー事後承諾で桑に変更します」「えー!大丈夫ですか!?」なんて会話になりました(笑)

 桑ってね、材料屋さんで見つけたのは初めてなんです。いつか桑で「つつみ」を作ってみたいくらいに思っていたほど市場では出くわしませんから、嬉しかったんですねぇ〜。

 で、ルンルン気分で持ち帰ってさっそく削ってみると、

003、桑、焼け色.jpg

 奥が焼け色で手前が2ミリほど削った色です。すごいでしょう?金桑なんて言い方もあるんですけど、これは北海道の金桑だ!って思う様ないい色でした。


004、アーム、桑.jpg

 写真ではなかなか伝わりにくいかもしれませんが、感動の仕上がりです。

005、フィンガージョイント.jpg

 キラキラしてるし、

006、桑の髄線.jpg

 年輪と直交している模様が髄線。




007、ヤマザクラ.jpg

 これはエゾヤマザクラ、緑がかった縞模様がうんと派手な個体を選んだのですけど、これがまたうっひょー!!な結果。

008、サクラ材のダイニングチェアー.jpg

 すんごいでしょう?これもまた「いつかこんな材で作ってみたいなぁ」なんて夢が実現したんですわ。

009、フィンガージョイントのアーム.jpg

 後ろから見たアームの年輪がド派手でしょう?



010、ナラ材のダイニングチェアー.jpg

 これは北海道産のナラ。硬くてしっかりした木味のいいナラです。ナラは髄線がはっきりしているので曲面にした時にこそナラの本領って発揮されるものだと今回しみじみ再認識しました。

011、ナラの虎斑.jpg

 この貫は虎斑(とらふ)ですね。

012、ナラの髄線.jpg

 ほらここの髄線の見え方はまた格別です。




013、ウォールナットのダイニングチェアー.jpg

 最後は極上のウォールナット。こんなに色が濃くて木味の締まった材はなかなかありません。

014、ウォールナット.jpg

 ここはあえて濃淡のある材を見せて、

015、ウォールナット.jpg

 フィンガージョイントの奥と手前でものすごく色が違って見えるのは木の繊維の向きによって光りを反射する角度が違うからです。


 
 今回のお客さんは自宅のリフォームに合わせて本当に気に入ったダイニングチェアーを選ぼうと探して探してようやく僕のブログに辿り着いたのだそうです。

 「ウェグナーのY チェアーも見て座ってもみたんですけど、やっぱり「つつみ」の方がいいと思ったんですよね。これを見つけた自分を褒めてやりたい」とまで言ってもらえたのでした。

 28年にわたって進化させ続けたデザインで、途中でもうやめようかと思った時期もあったのですけど、あきらめずに改良を加えて今に至るわけで、そのデザインにそこまで言ってもらえたら、泣けちゃいますわね。


 あれこれ集中できない事情をかかえながら、どうにか納得の完成度にこぎ着けてほっとした今日でした。

 ご無沙汰ばかりしていますが、元気でやってます。




 

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ナラ突き板の現代仏壇ーシンプルで芳醇 [現代仏壇]


 お久しぶりです、僕は元気でやっておりました。夏場は大工さんのアルバイト、9月からはたまってしまった自分の仕事に集中しています。今日やっと納めた仕事ですが老人ホームの居室用の現代仏壇です。

001、ナラ突き板の現代仏壇.jpg
 Tさんの宗派は戒名の軸を飾るのだそうで、奥行きは少なめでシンプルに、でも僕らしい事をというご要望です。

 扉を閉じた状態は簡潔に、でも開くと扉の裏の彫り込みに6個のレリーフと棚板が木目彩色という芳醇な世界がという設定です。

 今回は無垢材にはこだわらないご様子だったので、突き板ベニアを使った合板構造にしました。箱物に関しては無垢にこだわらない方がいいと僕は思っています。ただ今回の合板はただの合板ではありませんよ。

 002、シルキーオークの突き板.jpg

 突き板の貼り方を説明するために、これはシルキーオークの突き板です。


003、追い貼り.jpg

 4枚の突き板を右左同じ向きに並べて貼ってゆくのを「追い貼り」といいます。現代はほとんどがこの追い貼りです。あっさりしていることと、部材を取る時の歩留まりがいいのが大きな理由です。


004、ブック貼り.jpg

 これは一枚おきに左右を反転させて並べた状態。接ぎ口を中心軸として木目が反転するので「ブック貼り」といいます。現代ではめったに見ない貼り方です。大きな面積でこれをすると見方によっては、くどいということと歩留まりが悪いのが理由だと思います。


005、ブック貼りのナラ突き板.jpg

 でも今回は物が小さいのでこのブック貼りにしました。写真は4枚の突き板が貼られているんですが、髄線の斜めのパターンが対象形になってV字を描いているのが解るでしょうか?こういう効果が得られるのがブックならでは、なのです。

006、ナラの突き板.jpg

 すべてのパーツをブック貼りで特注しました。



007、ランバコアの断面.jpg

 さて、これはランバコアの断面です。ファルカタというとても軽い芯材の両面にベニアを接着したような断面です。突き板仕事というのはこのランバコアの表面に

008、ランバコアに突き板ベニア.jpg

 2.5ミリ厚の突き板を貼ったベニアを貼付けて行って、まるで全体がナラの無垢材でできているかのような状態にすることですが、この断面を考えるとファルカタを芯として表裏2枚ずつ、合計4枚のベニアが使われることになります。厳密に言えばランバコア表層のベニア2層は無駄なことになるわけです。


009、桐集成材に突き板ベニア.jpg

 そこで今回は桐の集成材を自分で納得するまで削り直して、その表面にナラを貼ったベニアを接着することにしました。というのは既成のランバコアは平面精度があまり良くなくて、大きな家具を作る分には気にならないのですけど、今回のように物が小さくて精度が要求される場面だと気になるのですね。

 加えてランバに突き板ベニアを貼るという方法ですとどうしても無駄な層が無駄な厚みになってしまうので、薄くて繊細でかつ精度が高いという次元を醸し出しにくいのです。

010、桐芯材のランバコア.jpg

 そこで今回は桐を芯材とした自家製ランバという仕様にしたのでした。



011、ワンバイ材.jpg

 本体が組み終わってほっとして、次はレリーフのパーツの加工ですが、今回はなかなかいい材料が見つからず、2件目のホームセンターでようやく出逢えました。2枚だけ、今回のパーツにはこれしかないだろうという材料です。

 写真の左の材が特によく写っていますが、年輪が細かくてくっきりしています。これに出逢うために数百枚はひっくり返しました。

012、アテの木目.jpg

 端の方で実験です。

013、杢.jpg

 わずか25ミリ角の中に見事な木目が出ましたよ!

014、杢.jpg

 安心して本番の加工。

015、木目お万華鏡.jpg

 快心の木目です。

016、木目.jpg

 この木目が尖ったところを狙って彫り込むと、

017、木目の不思議.jpg

 これも狙い通り!

018、立体木目いろいろ.jpg

 でもね、このパターンは20回やり直しました、、、。そうしてようやく今日納品。





019、ホーム居室のお仏壇.jpg

 偶然ですが、先に用意してあった無印の家具もナラ材でまったく違和感がなく、


020、シンプルなお仏壇.jpg
021、木目彩色.jpg


 カーテンの色と合わせた彩色の棚板もちゃんとコーディネート出来ました。


022、ナラ材のつまみ.jpg

 ナラ材で作ったつまみもさりげなくおしゃれ。


023、木のレリーフ.jpg

 ブックマッチの突き板とレリーフの納まりです。
 
 快心のパーツを見てくれますか?

024、木のレリーフパーツ.jpg

 20個作り直した成果ですよ。

025、木のレリーフパーツ.jpg

 これはあっさり決まったね。

026、木のレリーフパーツ.jpg

 たった25ミリ角の中にこれだけの木目が出る材がよくも見つかったものです。

027、木のレリーフパーツ.jpg

 見事に楕円。

028、木のレリーフパーツ.jpg

 この不規則な木目がいい味出してます。

 最後はこれ、

029、木のレリーフパーツ.jpg

 やったね!



 身内の健康問題で集中力を欠き、本体も扉も作り直したというギョエー!!!な制作でしたけど、最後は納得の完成度にこぎ着けました。お客さんの幸せそうなお顔に癒された日でした。

 Tさん、何もかも信頼して任せていただいて嬉しかったです。ありがとうございました!





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木目彩色 [日々の出来事]


 雨の多い日が続きますね。今日の札幌はいい天気で気温は25度近くまで上がったようです。

 屋根の温度がもろに伝わる2階で事務仕事をしていましたが、半袖でも汗ばむほどでしたので30度近かったのだろうと思います。


001、木目着色の棚板.jpg

 昨日、納品した仕事です。クラフトに理解のある工務店さんで作家の展示コーナーに使う棚板です。

 「ここに国本さんの作品を飾るんですよ〜」なんて言ってもらえましてね。気合いが入って一輪挿しで初めて実用化した着色方法をさっそく使う事にしたのです。

 結果は見ての通り、本人もビックリの出来上がり!


002、木目の着色.jpg


 最初は3色の提案をしたのですが、ナチュラルとの対比も見たいということで木地のままのものも入れて4色ということになりました。

 これがね、、、とってもいい経験になったのです。

 写真ではなかなか伝わらないかも知れませんが、上の3色と一番下の木地のものとでは圧倒的な差がありまして「もっと早くこの着色が出来ていれば、、、」と思う程でした。

 人が物の状態に驚く時の要素に「素材が化けている」ということがあると思うのです。まるで木だとは思えない、でもよく見ると木じゃないとこんな表情は出せない、そんな状態ですね。それがここに来てようやく出来た気がするのです。そして今まではまだ化けきらせていない状態で勝負していたんだということも理解できました。


003、木目の彩色.jpg

 今までやって来たことは、まだ人の常識の範疇にあって、今回の着色の結果はそこからはみ出している。だから驚くのでしょうね。この気づきは僕にとってものすごく大きな出来事でした。

 これからはこの手法を大きく発展させてやろうと思っています。


004、3次元の木目.jpg


 きれいでしょう?



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