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ダイニングチェアー「つつみ」の製作ー後編 [ダイニングチェアー「つつみ」の製作工程]

 

001、トリオクランプ.jpg

 十字の貫が組み終わったら、足を組み立ててゆきます。

 ここで使うクランプはちょっと変わっていて、「トリオクランプ」というものなんですけど、白いゴムが貼ってある部分が偏心カムのような構造をしていて、ねじが切ってある方からの圧力がかかるほど、側面をしめつけるというすぐれものです。

002、貫と足の接着ー1.jpg

 横貫と横足には今は何の組み手もなく、接着剤だけでとりあえずくっつけます。これを職人は「イモ」って言うんです。「あ~?ただのイモでくっつけるのか~?」みたいな。(笑)

003、トリオクランプで接着ー1.jpg

 前足も同様に「イモ」で付けます。

004、2トリオクランプで接着ー.jpg

 さて、次は二本並んだ後ろ足。

005、桑のダイニングチェアーの製作.jpg

 ここは8ミリのダボ3本ですね。ここの接着はやっかいでして、この2本が0.1ミリでも上下にずれるとアームの受け口の2箇所のどちらかの付きが悪くなってしまいます。

006、フィンガージョイントのアームを乗せて.jpg

 そこで仮のアームを置いて、

007クランプで縦横両方から圧着.jpg

 上下方向に軽く締めながら、

008.jpg

 2本の足を締めるということをしなくてはいけないのです。

009、椅子の組み立て完了.jpg

 これで、アーム以外の構造は組み立て終わりましたよ!

 さあ、今度は横足と前足に外からダボ穴を空けてゆきます。

010、ダボの墨付け .jpg

 ダボの位置に墨をして、(鉛筆を使っても墨をするって職人は言います。)

011、札幌の家具作家、国本貴文の椅子.jpg

 組み立ててある物を機械に乗せるのは気持ちのいいものではないのですけど、こうして、ボーリングマシンで外から穴を空けるんです。

012、札幌の家具作家、国本貴文の椅子.jpg

 こんな状況です。

013、札幌の家具作家、国本貴文の椅子.jpg

 そして、空いた穴の出口のあたりを上下方向に小刀で楕円に削ります。

 その結果はこんな。

014、札幌の家具作家、国本貴文の椅子.jpg

 ここに、ダボを入れて、くさびで広げると、その断面は、

015、札幌の家具作家、国本貴文の椅子.jpg

 ね!?出口のところでラッパ状に広がっているでしょう?接着強度だけでなく、物理的にも抜けにくい形にしているわけです。

 ところで、十字の貫に使ったダボは外からは見えないものなので、樹種は問いませんから、既製品でいいのですが、ここで使うダボはモロに見えてしまいます。既製品のダボの樹種は2種類程度しかありませんし、美観など考えては作られていません。ですから、ここで使うダボは自分で作らなくてはいけないのです。

 今回はウォールナットとチェリーで、濃い色の木ですからダボはなるべく白い木にしたいということで、アメリカ産のホワイトアッシュを選びました。この木はバットに使われるくらい丈夫な木で日本で言うとアオダモの仲間です。

016、ダボの自作.jpg

 まず、11.5ミリの角材をソケットレンチにむりやり突っ込み、

017、ダボの自作.jpg

 登場したのは「丸棒君」!

 奥側には15ミリの穴が、手前側には10.2ミリほどの穴が空いていて、途中に彫刻刀がセットしてあり、角捧を回転させながら突っ込むと10ミリの丸棒に変身!という優れもの。 イェーイ!

018、ダボの自作.jpg

 キュルキュルキュルっと、これがうまくいくと楽しい楽しい!(笑)

 これは動画で載せたいね~!

 これも当然「木殺し」をし、70ミリほどにカットしたら、くさびを入れる溝を切ります。

019、ニセアカシアの材.jpg

 使っている鋸の厚みは0.8ミリという薄さ。

020、ニセアカシアの材.jpg

 この写真は前回のニセアカシアのダボですけどね。 

 これで、ダボの段取りはOK。

 

 さあ!ダボを入れてゆきますよ~!

021、ウォールナットの特注椅子.jpg

 ミクロの隅々まで接着剤が行き渡るように、たっぷりと入れます。

022、ウォールナットの特注椅子.jpg

 ブチュブチユっと入れるんですけど、このくさびの向きが要注意。

023、ウォールナットの特注椅子.jpg

 こんな風にあっちこっちに向いちゃうとカッコワリーになっちゃうので、ここで登場するのは、「くさび平行君」(笑)

024、くさび平行君.jpg

 木っ端に銅の板を嵌めてあるんですけど、これを

025、北海道の家具作家、国本貴文の特注ダイニングチェアー.jpg

 くさびの溝に嵌めて、平行を維持しながらクランプでダボを締めてゆきます。

026、北海道の家具作家、国本貴文の特注ダイニングチェアー.jpg

 締め終わると余分な接着剤は穴とダボのわずかな隙間から噴出してきます。こうなれば、ダボの側面や木のミクロの穴まで接着剤が行き渡った証拠というわけね。

 で、お次は「くさびガイドさん」

  「オーライ、オーライ」 ってかい!? 

 027、北海道の家具作家、国本貴文の特注ダイニングチェアー.jpg

 10ミリのダボと10ミリのくさびがピッタリと並ぶようにガイドさんが助けてくれるのね~。

028、北海道の家具作家、国本貴文の特注ダイニングチェアー.jpg

 ウォールナットのくさびを打ち込んで、

029、北海道の家具作家、国本貴文の特注ダイニングチェアー.jpg

 ガイドさんをはずしてきれいに洗った姿は、お見事!

030、北海道の家具作家、国本貴文の特注ダイニングチェアー.jpg

 すべてにダボが入りましたよ!この余分を手鋸で切り落とし、仕上げると、

032、北海道の家具作家、国本貴文、ブラックチェリーの特注ダイニングチェアー.jpg

 いい仕事してます!これがブラックチェリーにダボはホワイトアッシュ、くさびがウォールナットの組み合わせ。チェリーはずっと色が濃くなるので、一年もすると色のコントラストはもっと出るはずです。

 ダボの年輪の向きとくさびの向きがちゃんと平行でしょう!?これも一本一本確認しながら溝を突いているんですよ!

 そして、今日最後の一枚。唸って下さい!

 

 

 

031、北海道の家具作家、国本貴文、ウォールナットの特注ダイニングチェアー.jpg

 

 

 もう少し!!!


 

 この椅子における最大の

 めんどくさい!

 アームの加工に入ります!

001、木の工房、トゥレベルク.jpg

 解りやすいように色違いで並べてみましたが、このアームは4っつのパーツがフィンガージョイントでつながっています。

 まず、木取りですが、ベニアの型で墨をして、

003、桑のダイニングチェアー.jpg

木取ってゆくのですけど、この時気をつけるのは、縦一列に順番に番号をふってゆくことなんです。

002、特注家具の工房、トゥレベルク.jpg

 この一列がひとセット分。もちろんそれは木目をジョイントで対象にするためなんですけど、これを部分モデルで説明すると、

004、木工家、国本貴文の家具製作.jpg

 これがジョイント部だとしましょうね。このA-A,B-B,C-Cを組み合わせると、

005、札幌の家具作家、国本貴文.jpg

 こういうふうに木目はきれいに対象形になりますが、

006、国本の特注家具.jpg

 C-A,A-B,B-Cと組み合わせると木目はぜんぜん合わないでしょう!?だから木取りの時に付ける番号はとっても重要なんです!

 さて、バンドソー(帯鋸)で切って、

007、桑の特注家具.jpg

 縦軸で削って、

 時には、クランプの押さえがあまくて、吹っ飛ばされて「ギャー」とか?

009、.jpg

 あらら、、、

 試験材を削っては、厚みをチェックして、

010、縦軸の加工.jpg

 OKとなれば、ホンチャンの材を削ってゆきます。で、次は、このカーブに対する正確な角度をまた試験材で切って、

011、横切りの角度治具.jpg

 フィンガーを削り出します。

012、アームのフィンガー加工.jpg

  このフィンガーを削る刃物は、

013、フィンガージョイントの刃物.jpg

 こんな刃物で、これひとセット10万は軽く超えていたと思います、、、。

 ゲェ~。減価償却なんて出来てないよね!?

 うん。

014、アールの圧着.jpg

 仮締めしては型の角度を微調整してまた削ってを繰り返して、やっとベストの角度が決まります。型も木材で出来ていますし、消耗部分もありで、約0.2度ほどの誤差を修正しました。

 すべてのフィンガーを削り出すと

015、特注家具でフィンガー加工.jpg

 うん、なかなかいいですよ!別なジョイント部は?

016、特注家具でフィンガー加工.jpg

 「ありゃー?」チョークのところがひっくり返しです!

 まぁ、こういうことがあるんで必ず余計に作るのですけどね、このセットは面を削る時の試験材となります。

 

 さあ!接着してゆきますよ~。

018、フィンガージョイントの接着.jpg

 ダボの時と同様にたっぷりと付けて、ミクロの隅々まで入り込むように、

019、フィンガージョイントの接着.jpg

 ムチュ!っと付けたら、余分はふき取って、

020、フィンガージョイントの接着.jpg

 型に入れてクランプで力一杯締めます!

021、フィンガージョイントの接着.jpg

 さらに余分な接着剤が吹き出てくるので、それも洗って、終了。

 次の日、試験用の2本組を

022、フィンガージョイントの接着強度.jpg

 うりぁうりゃ!?どうだ!?

 軽く踏むくらいでは折れません。

 

いいんじゃな~い!?

 

 もうちょい続く~!

 

「ウォールナットとブラックチェリーのダイニングチェアー「つつみ」の製作ーその6」


 

 

001、曲面に削った時の木目.jpg

 アームのサンプルが2本あります。それぞれの木口に注目して下さいね。

 左はアームの外側に向かって木目が下がっていて、右は逆に傾いているでしょう?そうすると、左のパーツの正面には、こういう木目で、

002、柾目の場合.jpg

 右のパーツの正面は、

003、板目の場合.jpg

 こうなる。こっちの方が面白味はずっとあるわけです。

 もちろんこれだけが正解ではありません。年輪の強弱が激しい木をこういう使い方をすれば、木目が視覚的に勝ってしまい、形の美しさが見えてこないケースもありますからね。

 今回は、ブラックチェリーとウォールナットで、木目はおとなしい材なので、こういう木目の出し方の方が面白いというケースです。

 フィンガーで繋いだアームは、

004、特注のルーター刃.jpg

 傾いた楕円の半分の刃物で表と裏の2回に分けて、楕円の断面を削り出します。

005、アームの削り出しー1.jpg

 ひっくり返しでアームの外の下側が見えた状態です。

006、アームの削り出しー2.jpg

 ぐるりんと削り終わったら、今度は内側。

007、アームの削り出しー3.jpg

008、アームの削り出しー4.jpg

 形になって来ました!

 例によって、パーツに命が宿る瞬間を!

009、木に命が宿る瞬間ー1.jpg

 これが、こうなる。

010、木に命が宿る瞬間ー2.jpg

 「うひゃー!」でしょう!?

 ブラックチェリーの方は、

011、木に命が宿る瞬間ー3.jpg

 これが、

012、木に命が宿る瞬間ー4.jpg

 こうなる。まだ削りたてで木目はぼやけてますけどね。ちゃんとペーパーを当てて仕上がるとそりゃきれいになりますよ!

 ところでね、ここで白状すると、このチェリーのアーム、実は丸一日かけてやり直したんです、、、。

 組み立ての時、A組とB組の一部を入れ替えて組んでしまい、その結果

012-2、アームの木目の失敗.jpg

 ほら、よく見ると、木目がぜんぜん対称じゃない! 

 気付いた時は、えらい凹みました。その日の晩は「しょぼーん、、、、」で、、、、。

 でも気を取り直して、やり直したのさ!

 この4本は後日アウトレットで6万円ってことになるかなぁ?あ~あ。

 

013、小鉋での修正.jpg

 さぁ、微妙な誤差を小鉋で修正し、

014、逆目.jpg

 逆目のボソボソはお手製のスクレーパーで削り、

015、逆目をスクレーパーで削る-1.jpg

 粉のような削り粉でしょう!?削った結果は、

016、逆目をスクレーパーで削る-2.jpg

 ほら、もうガサガサしてないでしょう?こうしておけば、ペーパーがけが楽になるんです。

017、アームのサンディング.jpg

 荒いペーパーはサンダーで能率優先。その後は手でシコシコ、スリスリ、、、。

018、仕上がったアーム.jpg

 仕上がりはこんな感じ。ヌルっとして、木目もはっきり見えて来ます。

019、アームのダボ穴あけ-1.jpg

 次は、足を組む8ミリのダボ穴を空けてゆきます。

020、アームのダボ穴あけ-12.jpg

 とうとう、アームも組み立てに入れますよ!

021、椅子の組み立て.jpg

 まず、足の方に接着剤を入れて、

022、ダイニングチェアーの組み立て-1.jpg

 ダボを入れ、

023、ダイニングチェアーの足とアーム.jpg

 アームを乗せたら、

024、ダイニングチェアーの組み立て2.jpg

 アームを組む時に使った型を乗せて、

025、ダイニングチェアーの組み立て3.jpg

 上下に締めて、最後に

026、ダイニングチェアーの組み立て4.jpg

 アイロンで変形させたアームの受け口が水分で戻らないように、横方向にも締めて、組み立ては完了です。

 

 やったー!!!

 

 ここまで来たぞー!!!

 

 もう安心。事故は起こりようもなし!(笑)


006、最終仕上げ.jpg

 サンドペーパーでの最終仕上げに入りました。組み立ての時は接着剤を洗い落とすのにジャブジャブと水で洗うので、あらゆる場所で木が毛羽立っていたり、接着剤が飛び散っていたりするので、大事な工程なのです。

 後ろに見えるチェリーの椅子の高さがウォールナットと比べると低いでしょう?これを注文下さった、Iさんは、小柄な方で、身長148センチ。座面高を36センチと指定されたのです。

 これに関しては、ちょっと悩んだのですが、僕は身長164センチで座面は40~42センチがベストと思っています。そうすると148センチの方とは16センチの差があります。体と足のバランスが半々とすれば、148センチの方のベストの座面高は32~34センチという計算になります。だから36センチでもまだ高いのです。そこで、ご本人にも確認して今回は34センチにしました。

  椅子の座面の高さって、西洋の椅子の寸法をそのまま真似たために日本人の寸法にそもそもほんとは合っていないのです。既製品の座面って今でも42から44センチあるのですけど、160センチ以下の人には高すぎるのですよ。高すぎると膝の裏が圧迫されて、長時間座っていられないから、自然と座面の前の方に座って、圧迫を避けたりするんですよね。あまり知られていないし、日本人の平均身長が高くなりつつあるから、うやむやになってるけど、ほんとはそういうことなのです。

 さて、仕上げが終わったら、椅子張り屋さんに座面を外注するために座面の段取りです。

005、座面」.jpg

 小さい穴はボルトが入る穴で、大きな穴は空気穴です。今回は皮なので、クッション内部の空気が抵抗なく抜けるように空気穴が必要なんです。そうじゃないと、風船に座ったような感じになってしまうのですね。布の場合は必要ないですよ。

 これで、加工はすべて終わりました。

 今回の椅子のために使った型を全部並べてみると、

001、治具.jpg

 20点ありました。「くさび平行君」とか「くさびガイドさん」のような細かい物も入れると30点にはなるでしょうか?「つつみ」のパーツは種類で言うと5種ですから、一種のパーツにつき、平均で6点の型がある計算ですね!?

 ひょー!そうなんだ!?自分でびっくり!

 それと、削ったり、面を取ったり、するための試験用のパーツや予備も含めて、多めに取ってます。

002、試験用パーツー1.jpg

003、試験用パーツー2.jpg

004、試験用パーツー3.jpg

 これが全部、余ったパーツ。なので、うまくするとアウトレットが一台作れちゃったりするんです。今回は4台でしたが、前から予備部品で余計にできたら一台欲しいという方がいらしたので、ウォールナットは3台で計5台作ったんです。

 さて、いよいよ塗って行きますか!?一気にしゃべり始めますよ ♪

007、ブラックチェリーの塗装前-1.jpg

 ブラックチェリーの塗る前と

008、ブラックチェリーの塗装後-2.jpg

 塗った瞬間♪

 おー木目がー!

009,3ブラックチェリーの塗装前-3.jpg

 横足には髄線がバリバリのもあったり!

010、ブラックチェリーの塗装後-髄線.jpg

 ふぁ~!

011、ウォールナットのブラックチ塗装前.jpg

 いくぜ!ウォールナット!

012、後ウォールナットのブラックチ塗装後.jpg

 あややや~!?

013、下塗り後.jpg

 下塗りの一回目は完了です。 (床のゴミが付かないように足先に木ねじをうってあります。)

 

 君たち~!饒舌になったのはいいけど、

 

   英語でしゃべり

 まくられても

 わかりませ~ん!


 

001、ブラックチェリーのダイニングチェアー「つつみ」.jpg

 Iさん発注のブラックチェリーの「つつみ」の完成です!

002、ブラックチェリーのダイニングチェアー「つつみ」.jpg

003、ブラックチェリーのダイニングチェアー「つつみ」.jpg

 今回は足を6センチ切っているので、上下のバランスがいつもと違って不思議な感じです。(後から出てくるウォールナットと比べて見て下さいね。)

004、ブラックチェリーのダイニングチェアー「つつみ」のアーム.jpg

 一度は木目合わせに失敗してやり直したアームの木目。ビッタリ合っているでしょう?そして左右の足の木目も対称。

 アームの中央のフィンガージョイントの部分に注目して下さい。濃淡の差は小さいのですが、この状態から左に45度くらいの方向から見ると、

005、ブラックチェリーのダイニングチェアー「つつみ」のフィンガージョイント.jpg

 ほら!濃淡がくっきり出たでしょう?木の細胞は短く切ったストローの束のようなものと想像すると、このアームの部品は左右でそのストローの向きが違うわけです。今、光は左上から照らしていますが、右の部品はストローの背がこちらに向かって光を反射し、左の部品は右に向かって反射している。だから左の部品は暗く見えるわけなんですよ。木のものを見る楽しみはこんなところにもあるんです。

 これが理解できれば、今、皆さんが使っている木のものの見方も変わるはずですよ~。

 

007、ブラックチェリーの足に見える3次元の木目.jpg

 アームだけではなく、程度の差はあれ、すべてのパーツに対して、木目には気を使っています。横足のとある場所にはこんな面白い木目も出て来ました。こういう木目は平面上では見ることはできません。3次曲面だからこそなのです。体にフィットして優しい形はおのずと3次曲面になって行く、削り出すことは大変ですけど、それゆえにこういう木目も出て来る。そういう細部の集積が魂のこもったモノになる大きな理由のひとつと言えるでしょう。

008、貫を挟み込む足の構造.jpg

 もうひとつは技術。二本の足が貫を挟み込むこの構造。この椅子の難度を極める部分のひとつです。しかも貫の木口もちゃんとRが取られているでしょう?この部分の加工だけでも手間がかかるけど、取ると取らないではずいぶん印象は違います。

009、ホワイトアッシュにウォールナットのくさび.jpg

 ブラックチェリーにホワイトアッシュのダボ、そしてくさびはウォールナット。さりげないけどここだけで3種の材が存在します。でもでしゃばらない、ちょっとしたアクセント。

 

 

 さて、Aさんのお母さんからの発注のウォールナットの「つつみ」は。

010、ウォールナットのダイニングチェアー「つつみ」.jpg

 しぶ~!

 冒頭のチェリーと上下のバランスがずいぶん違いますね?

012、ウォールナットのダイニングチェアー「つつみ」.jpg

 アームの中央で奥と手前の濃淡がくっきり分かれているのはストローの反射の理屈ですよ。

013、ウォールナットのダイニングチェアー「つつみ」.jpg

 ほらここでもアームの色が違って見えている部分があるでしょう?

 しかし、渋い!!!

014、ウォールナット無垢の削りだしのアーム.jpg

 パーツとパーツの間に生まれる空間のバランスの美しさもこの椅子の見所のひとつ。

015、ウォールナット無垢材のダイニングチェアー.jpg

 もちろんこちらも、左右対称の木目!

017、アームに見える不思議な木目.jpg

 アームの外側にはこんな不思議な木目も観察できます。

 

 おっと、「つつみ」の座面の工程を忘れるところでした!

画像 003.jpg

 一層目、

画像 004.jpg

 二層目、

画像 005.jpg

 三層目、

画像 006.jpg

 柔らかめのウレタン5ミリを四層で底付き感を和らげるのと真ん中をふっくらと盛り上げるためですね。そしてその上に15ミリのチップを、

画像 007.jpg

 そして仕上げの10ミリで

画像 008.jpg

 この上に皮を張っています。単純な丸い座面に見えますけど、全部で6層のウレタンを使っているんですねぇ。

 

 

 

 さて、今回は写真を撮るのに今までで一番手間をかけたかもしれません。撮る場所の床に一坪分の仮設床まで敷いて撮ったのですよ。でもやった甲斐がありましたね。まぁまぁの写真が撮れました。その中で一番のショットを最後に!

 

018、曲面の木目と質感.jpg

 ブラックチェリーのアームです。

 塗装の照りといい、3次曲面の木目、フィンガーからの濃淡の差、いろんなことがこの一枚に凝縮してますよね。

 がんばったかいがあったねー、、、。寂光さん好みの写真かも!?

 

 

 長い連載でした。そのことだけでもこの「つつみ」がいかに大変な椅子かが解りますでしょう?でもまたこうして命をもったモノが巣立って行きます。もうすでにこれから先作るモノはすべて僕より長生きをする、そう思ったら責任ありますね、、、!?

 

 お付き合いいただき

 ありがとうございました!

 

 

 次の連載もすでに決定しています。その前に単発の記事を挟むかな?

 まぁいろいろありますわ。これからもお楽しみに~!

 

 「ダイニングチェアー「つつみ」の製作ー完成(ブラックチェリーとウォールナットの特注椅子)」


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engrid

アーム、美しいです!
背もたれのまーるいアームに
脚の、わずかに反ったような曲線のバランス
すばらしいですね
背もたれのアームに、広がりと
また、包みこまれるようなし優しさも感じています
 
by engrid (2010-11-27 17:36) 

ポメラニアン

kuni様どうも!
ウォールナットが渋いですねー。
とても不思議な木目達に拍手!!!
そして、それに命を吹き込むkuni様にも拍手!!!
by ポメラニアン (2010-11-27 17:56) 

hatumi30331

きれいですね。
素敵です! きれいなアーム。
何だか、優しさが伝わってきますね。
kuniさん すごいです!
by hatumi30331 (2010-11-27 19:45) 

はくちゃん

こんばんは
美しいですねぇ
色合いも素敵ですし、木目が。。。すばらしいですね
写真で見るだけでも、気持ちの良い椅子ですね

by はくちゃん (2010-11-27 20:38) 

青い鳥

木目の美しさは言うに及びませんが、
座面の膨らみが6層のウレタンによるものだと知って
またまた感激しています。
>またこうして命をもったモノが巣立って行きます。
 もうすでにこれから先作るモノはすべて
 僕より長生きをする
「凄い」という月並みな言葉ではい尽くせない感動に包まれてもいます。
有難うございます。
by 青い鳥 (2010-11-27 21:42) 

nao

ソファーも「つつみ」もとても落ち着いた色に仕上がりましたね
曲線がとてもセクシーなんですけど・・・
by nao (2010-11-27 22:28) 

Dandelion

こんばんは

部材の違いでこんなに雰囲気が変わるとは・・・
曲線の美しさ、色合い・・・アートですなぁ
by Dandelion (2010-11-28 00:05) 

めりー

こうなると芸術品ですね^^
木の素材が違うだけで こんなに出来上がりの
印象が変わるんですね!
イスって、家具に比べたら小さいけど、
作る工程やパーツが多くて大変なのですね、
kuniさん、完成おめでとうございます^^*
by めりー (2010-11-28 00:34) 

みち

命が宿りましたね。自分よりも長生きする作品、、、
そう考えると素敵な仕事ですね!
木目の目、ストローの束で考えると分かりやすいです。
布の目は、母が使うのでよく耳にしていました。
ブラックチェリーとウォールナット、張地が同じでも
随分雰囲気が違うものなんですね~。
足の長さによっても感じが変わるし。。。そこが
デザインとしての大切な要素なんでしょうね。
by みち (2010-11-28 01:35) 

こけもも:

ウォールナットが激渋ですね:-)
こういうモノ作り記事は本当に読んでいて楽しいです。
by こけもも: (2010-11-28 01:50) 

silverag

「つつみ」完成おめでとうございます
「鼓」のイメージを感じます
by silverag (2010-11-28 09:12) 

toyo

こういうイスなら一生ものですね。
いやもっと何代もですね。
一般的にはこういうことを知らないので、とても奥が深い・・で、いいものは必然的にシンプルになる・・なんでしょうかね。
木の楽しみの一端に触れた思いです。
良い記事をありがとうございます。

by toyo (2010-11-28 10:58) 

opas10

ウォールナット渋!!と思ったのですが、これってもしかしたら完成時が渋さのピークで、使い込むうちにどんどん若返ってくることを狙ったんじゃないですかkuniさん?
by opas10 (2010-11-28 12:08) 

chako

この前の記事から、ソファーや椅子の座面の内部まで見せて頂きありがとうございます。面白かったです!
底付き感でしたっけ?なるほど!でした。それぞれにみんな心づくしいっぱいですね。
by chako (2010-11-28 12:11) 

kuni

>engridさん、アーム、美しくそして優しいでしょう?この滑らかなカーブの削りだしにいったいどれだけ手間がかかることか、、、(^_^;)
 僕の作るものってどうしても曲線が多いのですね、ハートにも体にも優しい形ってそうならざるを得ない。でも手間がねぇ、、、。なんです。

>ポメラニアンさん、ウォールナットが渋いでしょう!?自分でも見惚れちゃってますよ!拍手!?おー、ありがとう~!

>hatumi30331さん、ありがとうございます!はい、すごいけど、ここまでやるのはおバカです!(笑)

>はくちゃんさん、「写真で見るだけでも、気持ちの良い椅子」あー、今回は写真撮るのに大変だったので、こう言っていただけると嬉しいですねぇ~!

>青い鳥さん、6層のウレタン。ここまでやってくれると思わなかったんですけどね。張り屋さん、ほんとにいい仕事してくれるんです。
 せいぜいあと20年でしょうからね、、、。それ以上の耐用年数は間違いなくある、そう考えるとちょっと怖い!?なおさらしっかり仕事しておかなくちゃって、思うのですねぇ、、、。

>naoさん、うふふ、セクシーでしょう?あ、naoさんのホームページの写真もセクシーでしたよ。

>Dandelionさん、樹種が違うとほんとに違って見えますよね。そう、もはやアートでしょう?用途をはずしても鑑賞に耐えられるモノであってほしいなと思って作ってますんで~♪

>めりーさん、ありがとう~♪足モノと箱モノって比べると、箱モノの方が圧倒的に採算はいいのですよ!椅子はダメ!ぜんぜん合いません!(笑)作るほど貧乏します。(笑)

>みちさん、布の目ね?石にも目があるって言うしね。天然の砥石で「仕上げ砥石は板目」って言うし、青砥っていう石は「柾目使い」って言うんですよ。
 座面の高さの話があったでしょう?日本人には40センチくらいがいのに既製品は42センチはある理由がね、ある家具デザイナーに言わせると「その方がスマートでかっこよく見せやすいから気付いてはいても改めづらかったっていう背景もある」なんて言ってましたねぇ。

>こけもも:さん、「ウォールナットが激渋」でしょう!?自分でしびれましたもん!(笑)
 楽しんでいただけてますか!?嬉しいですよ~!

>silveragさん、はい、「鼓 」にも通じますよね!?
 ありがとうございます。

>toyoさん、久しぶりのコメントありがとうございます!何を思って読んでいらっしゃるか、ちょっと不安だったのですよ。安心しました。

>opas10 さん、!?すごい深読み!ウォールナットは年月とともに色が淡くなるんです。そこはピッタシかんかん!なので、実は、 このシブさが維持できるように 密かに軽く着色してるんですよ!不自然じゃない程度にね。びっくりした~。ややこしいので書かなかったんですけどね。さすがです!

>chakoだす~!さん、(笑)思い出しちゃって、、、。そうですよ~、気配りのkuniですから~!


by kuni (2010-11-28 18:19) 

sodep

ブラックチェリーがいいダス!
桜の色や木目 やはり日本人に一番あっている気がします
ウォルナットも超渋いですね
きちんと年を重ねてこんな椅子が似合うような生き方をしたい!
椅子のバランスはウォルナットの脚の長さ 抜群です!
部屋のどこにおいてあっても さりげなく目を惹き付けそうです

by sodep (2010-11-28 20:31) 

かに吉

足が6cm違うだけで、たしかに印象が違う椅子になりますね
たかが6cm、されど6cmですねぇ ^^
最後のショットは、とってもかっくいいです ♪
by かに吉 (2010-11-28 22:02) 

cjlewis

う〜ん、これまた、美しい!
自分よりも長生きするものを作れる
というのも、また幸せですよね!

木目の使い方ひとつで、心地よさが
格段にアップしますね!
話はちょっと違いますが、私の実家は昔、
テーラーを営んでおりました。
(父がリタイヤしたので、廃業しましたが)
ストライプの生地は柄合わせが厄介と
父がよく言ってましたっけ。
by cjlewis (2010-11-28 22:43) 

chalice

お疲れ様です。
つやつやの出来栄え。素晴らしいです。
ちょっと座ってみたい。。。
いいものはいいですね~。美しいもん。
なんでもそうですが、バランスがいいものが落ち着きますね。
by chalice (2010-11-29 02:10) 

レイリー

スゴイ。。。。
完成すると更にスゴイですね~
この見事な木目、座面のウレタンまで手の込んだ造り。
何と言っても全体が芸術ですね~
更には写真でも温かみがしっかりあるところが見事です。
私も座ってみたいです。
by レイリー (2010-11-29 12:59) 

aya

色んな拘りがあるんですね、それが作品に活きているんですよね。
木目を大切にされているのが よく分かります。
とても美しい椅子ですね(^-^)V
by aya (2010-11-29 19:45) 

tromboneimai

”出しゃばらないちょっとたアクセント”
遊び心というかさり気ないお洒落がとても
いいですね。
とても座り心地が良さそうです^^
by tromboneimai (2010-11-29 22:54) 

kuni

>sodepさん、そうねぇ、日本人にサクラ。ウォールナットに比べると、その感じ方はやっぱり身近なものとして感じる気がしますねぇ、、、。
 ほんとはチェリーじゃなくて日本のサクラで作りたいものですけど、なかなか材料が安定しないからなぁ、、、。

>かに吉さん、えへへ~。最後の写真よかったでしょう!?気合入れて、数を写せばやっぱりいいショットてあるんですね。めんどくさがらずある程度の数はやっぱり撮らなくちゃいけないもんなんですねぇ。

>cjlewisさん、ふとね、自分が死んだ後、子供がどこかで僕の作ったモノに出会った時、しゃんとした姿でいてほしいよなぁ、、、って思ったんですねぇ。う~ん、そう考えれば、幸せなことかもしれませんね。

 はぁ、お父さんはテーラーでしたか!?それはcjの感性になんらかの影響を与えているんでしょうね。うん、なるほど「ストライプの生地は柄合わせが厄介」っていかにもですね。言われてみれば、昔、ソファの張り地に大きな柄ものを選んだ時、布のメーター数が数割増やして発注させられました。言ってましたよ。「柄物はマチの柄合わせが大変なんだ」って。

>chaliceさんはしっとり、つやつやがお好きですものね!?お肌の調子はいかがですか~!?「あほ」って?

>レイリーさん、うしし、すごいでしょう!?こうして本気で作るとね、自分の力を超えた存在になるんですよね。彼らはすでに僕を超えた存在なのです~。
 あ~、座らせてあげたいなぁ、、、。

>ayaさん、(^-^)Vって、ありがとう~!木目は木が持っている最高の特質のひとつですからねぇ。それを生かしてやらないと罰が当たりますから。

>tromboneimaiさん、あら、コメントしていないのにいただいてしまって、すみません。最近ちょっと余裕がなくて、、、。
 はい、これ見よがしじゃない、さりげないおしゃれが好きですね。


by kuni (2010-11-30 13:08) 

S_S

両作品とも、凄い出来ですね・・・
良いとか素晴しいとか、そんな表現ではなく
凄い!ってのが私の感想です^^
解る人が、解る人だけの為に作った
生涯を共に出来る一点もの。。。
今回の椅子なんか
椅子に座るって表現じゃなく
「つつみ」と共に居るんだって
言いたくなっちゃいますね♪

by S_S (2010-11-30 19:41) 

dororo

曲線も木目も綺麗ですね。
座ってみたい・・・
by dororo (2010-11-30 22:45) 

HEIJI

いつもながら良いものを見せていただきました。
木は生き物なんですねー。椅子になった後も・・・
by HEIJI (2010-11-30 23:53) 

baby_pink

わぁ~、何だかkuniさんの説明で木の見方が変わったような気がします^^
凄く座り心地のよい椅子なんだろうなぁ~~!!
ってお写真と今までの工程を拝見して、感じます。
この椅子に出逢えた方はきっとすごく幸せライフが
送れそうですね♪ すてきです♪
by baby_pink (2010-12-02 05:50) 

kuni

>S_Sさん、「つつみと共に居る」って、いい表現ですね!S_Sさん、言葉の表現力がほんとありますね!その才能、かなりのものだと思いますよ。何かに生かせそうな、、、。少なくともブログに何か別なカテゴリーでも出来そうですよね。詩とか随筆とか、、、。


>dororoさん、久しぶりのコメント、ありがとう!忙しそうですね。うーん、座らせてあげたい、、、。

>HEIJIさん、「木は生き物」そうですね、これは自分でも忘れてはいけない発想ですね。だから生かしてやらなくちゃいけない!自分に言い聞かせなくちゃ。


>baby pinkさん、あ、そうですか!?これは嬉しい。ええ、僕は木のものに対する見方を変えたいのですよ!みんなが思ってるより、もっと深くて教えられる事がたくさんある素材なんだってね!まだまだ深いですよ~。伝えたいことが山のようにあります!お楽しみに!


by kuni (2010-12-02 09:32) 

whitered

今晩は。なんとお美しい!アームの光沢と曲線の美しさは最高ですね。磨きに磨かれたご苦労がしのばれます。注文主は、さぞお喜びでしょうね。
by whitered (2010-12-05 00:47) 

プランツマーケット

チェリーもウォールナットも大好きな材の一つです。
この曲線、言うことありませんね!
by プランツマーケット (2010-12-05 23:29) 

kuni

>whiteredさん、実は5日になってやっとお客さんと連絡が取れまして、(旅行のお好きな方なので、、、)ブログを大感激しながら見たとやっと感想を聞けたのでした!

>プランツマーケット さん、どちらも人気のある材ですからねぇ。嫌いって言う人はめったにいないですね。

 そうだ!プランツさんはM-chairって覚えていてくれたんですよね!思い出した!あの時は感激しましたよ~。

by kuni (2010-12-06 08:14) 

チァーリーマサ

いい仕事をしている貴重な写真、ありがとうございました。
見事な仕事で、大変勉強になりました。
by チァーリーマサ (2014-04-19 18:20) 

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